蕪蒸し
冬の定番「蕪蒸し」 京都あたりの料理屋さんへ伺うとこの時期必ず出てくる料理です。
魚介類の具に、摩り下ろした蕪をのせ、蒸しあげてあんを張ります。
具の王様はなんといっても甘鯛です。三枚におろした遠州灘産の甘鯛に塩をあて半日寝かせます。
蕪は京都の聖護院蕪。皮を剥いて摩り下ろし、刻んだきくらげを混ぜてつなぎの卵白、ほんの少々の塩を混ぜます。
甘鯛を軽く蒸し、下煮したシメジ、百合根などを添えて、蕪をたっぷりのせて再び蒸すこと8〜10分。出汁に薄口醤油でお吸い物より少々濃いくらいの味をつけて、水で溶いた本葛でとろみをつけます。ワサビをのせて熱々をお出しします。
蓋を開けたときの湯気がご馳走です。
上品にちょっとづつ召し上がる方もいらっしゃいますが、全体を崩して混ぜるようにして召し上がると美味しく感じられます。できれば器を口元まで持っていって、ずるずると食べるくらいが丁度いいのような気がします。
実は味もそんなイメージで付けてあるのです。スプーンですくって食べる場合、お箸でつまみあげて食べる場合、お椀を口元まで運んで食べる場合、舌に感じる味の濃さは皆違います。その辺の微妙なさじ加減が全体のバランスを調整する大事な要素になります。
中の具をマーケットで売っているタイや平目、鱈でもできますし、蕪は普通の蕪でも充分です。夕食にいかがでしょう。