遅ればせのお節


本来なら12月中にお話をするおせち料理の話題なのですが、バタバタ追われているものですから毎年時間がありません。お客様から「○○」ってどうやって作っているの?・・・などというmailもいただいたりしていますので、ちょっとご紹介を。


代表的な黒豆はお正月には欠かせない料理です。祖父の頃まで、関東では黒豆は醤油と砂糖で甘辛く煮るものでありました。25年前、私が大阪で「葡萄豆」というふっくら甘くふくませた黒豆を覚えてきて、さらに丹波の黒豆も普通に手に入るようになりました。以後黒豆といえば丹波産の大きなお豆をうす甘く焚いたものになっています。まだこちらでは20-30年の仕事です。


丹波産の黒豆は米のとぎ汁に一昼夜漬け込みます。倍の大きさになった豆を水からコトコト、コトコトおよそ14時間くらい焚いて柔らかくします。


一晩そのまま冷まし、流水で汚れを取ります。


黒豆をザルに平たく並べ蒸し器で20分ほど蒸します。同時に一升のお水に対して400匁(役.5kg)の砂糖を溶かし込んだ蜜を作ります。豆と蜜が熱々の状態で豆を蜜の中に投入します。黒豆は温度変化ですぐにしわがよってしまいますので、こうすることで表面をきれいに仕上げるわけです。


熱々の黒豆をそのまま一晩冷ますと、黒豆の中に入っている水分が出てきて、蜜が薄まります。そこでもう一つの鍋に同じように1升:400匁の蜜を作っておいて、翌朝豆をそちらに入れ替えるのです。こうして丸一日漬け込んだ状態で出来上がりです。


もう一つの代表選手 昆布巻き。今年は身欠鰊で作りました。


身欠鰊は最近流行の柔らかいものではなくてカチカチに乾燥させたものを使います。そのほうが味が出ます。


身欠鰊は米のとぎ汁に二日間つけます。水を入れ替えて蒸すこと4時間。鰊は柔らかくなり、大量の脂分が出てきます。一晩流水で脂を流します。


日高昆布を水につけて柔らかくして、鰊を巻いていきます。日高昆布でなければ美味しくできません。巻いた昆布巻きをさらに干瓢でしばっていきます。鍋の真ん中に一升瓶を置いて空間を作り、昆布巻きをきれいに並べていきます。たっぷりのお水からコトコト焚くこと役半日、砂糖と醤油で甘辛くしっかりと味をつけ、地が詰まってなくなってきたら、真ん中の空間からおたまですくい取りながら全体にかけて仕上げます。


昆布巻きも自分で作ると美味しくできるものですよ。