審査員


もう10年以上仰せつかっている調理師学校作品展の審査をやってきました。


和洋中製菓それぞれにこの地の料理店、洋菓子店のシェフ、調理長、パティシエが各3〜4人づつあたります。


「基礎能力」「創造力」「美意識」「実用性」「素材実質性」などの項目を5:満点で評価するのですが、今年の日本料理部門は50数点の学生たちの作品が並んでいました。


意欲の欠片も感じられない作品が10%、私なら冷蔵庫のあまり物を使って15分で作ることができる程度の作品が20%、やっと卵からかえったくらいのヨタヨタながら一生懸命さが感じられる作品が45%、時間をかけてしっかり取り組んだ作品が20%、「やるじゃん」と唸る作品が5%。


例年「かわいそうだから」と1点をつけることを控えめにしていたのですが、理事長が「1点も遠慮なくつけてください」とおっしゃったものですから、今年は能力以上に意欲が感じられない作品にはビシビシ1点をつけていきました。


あとで聞くと、1点のついた生徒には追試やさらなる作品の作成が義務付けられるのだとか・・・・やっぱりかわいそうなことしたかな?


驚いたのが一番よくできていた料理を作っていたのがタイ人の女性だったことです。日本での生活がどれくらいなのかは知りませんが、完璧な日本料理の体裁が整っているだけでなく、家庭料理ではなく料亭で使える献立になっています。料理を見ただけで漲る意欲と力強さを感じます。


実は彼女、12月に一ヶ月間行われる企業研修で私ン処の調理場へやってくることになっています。まだ会ってはいないのですが、履歴書を見ると漢字もちゃんと書けています。


いい作品を作ることと現場に馴染んで伸びていく料理人になることは別のことなのですが、楽しみな人材です。