アクなし〜無名


やんばる島豚と同じ時期に入手ルートができた沖縄産寿豚という豚があります。


昨日の休日、柔らかな有機ほうれん草と寿豚ばら肉のシャブシャブをやってみました。ばら肉に旨味とほうれん草の相性がとてもいい鍋です。


シャブシャブというと牛肉でもアクとの戦いになります。ひたすらアクを救い続けないと最後に残る汁はにごったものになります。豚肉ではアクの量はさらに増え、溶け出す脂分もたっぷりになります。


ところが驚いたことに、寿豚のばら肉は1kgほどをシャブシャブにしたにも関わらず一切アクが浮いてきません。結局最後まで一回もアクをすくわなくてもよかったのです。そして残ったのは脂をあまり感じさせない黄金色に色づいた旨味たっぷりのスープ。


こんな豚肉は初めてです。


これまでばら肉は3〜4時間かけて蒸し、一晩寝かせて1時間くらいかけて焚く角煮にしていたのですが、茹でたときのこの特性はシャブシャブにしなければ理解できませんでした。


これを利用して新しい献立を考え出してみたいものです。


残ったスープで作ったうどんの美味しさも抜群です。何も言わずに食べれば豚のバラ肉だけでとったスープとは誰も想像できないでしょう。


メディア大好きな”こだわり”のラーメン屋さんがこの豚の豚骨も含めて手に入れれば、「幻の」「足で探し当てた」「秘伝の」「驚きの」「こだわりの×100回」くらいに騒ぎ立てるかもしれません。どこかですでにありますか?やんばる島豚、寿豚使いのラーメン屋さん。


一週間ほど前に読んだ沢木耕太郎「無名」


沢木さんの本はいつ読んでも惹き込まれます。


朝のNHKの番組にその沢木さん本人が「無名」をとりあげたインタビューに出ていました。淡々と話す沢木さんの姿はとても好感が持てるのですが、やっぱり本以上の内容は出てきません。


この人の文章はいい酒が喉をするする通るように滑らかでこなれているいるのですが、発表されるまでに文章が練り続けられる過程というのはきっと膨大な労力がつぎ込まれているのでしょう。


文章が素晴らしすぎて語る言葉をはるかに凌駕している・・・・のでしょうね。これほどの文章を書いてみたい。