成績表


職人的には、お客様に満足していただいて「美味かったよ」とニコニコしてお帰りいただくのが目標で、数値として満足度を採点していただくわけではありません。


が、
経営者的には、決算という形で成績表は数字で明確に出てしまいます。


どんなにいい仕事をしても、お客様の満足度がどれだけ高くても、経営者的な成績表が失格では店としては成り立ちません。


よく聞く「原価を無視して」とか「趣味でやっている」などという仕事は本末転倒な話で、お客様の満足と経営的な成り立ちの接点が真っ当であることも大事なことなのです。


しかし、私のようにどんぶり勘定の職人にはそういう経営者的な資質がとかく欠落しがちです。


「この魚は俺の仕事を待っている」「これだけの品物を俺が使わなくて誰が使う」「原価率がつらくなる分は自分が身を粉にすればいいや」「この器はどうしても俺の仕事には必要だ」などなど、経営者的には繭をひそめるような所業もオーナーシェフなら自分を納得させてしまいます。


逆に、原価率や人件費はじめ経費のことばかり考えているようでは、仕事に面白みはなくなり、魅力のある店にはならないかもしれません。


一年を通した両方の折り合いをうまくつけることが私ン処のような小さな店には大事なのでしょうね。


で、
昨日税理士の先生が持ってきてくださった成績表は・・・・・「この世間の景気の割には」ということわり付きで合格点がでました。


とはいえ、成績表はあくまで数字の上でのお話です。


体で感じる忙しさや素肌感の儲かり具合というのは決して満足できるものではなくて、これだけ地道に地道に仕事を続けているのに、まだまだ結果が現れていないというのが本音です。


まっ、人様から見れば、今のような仕事っぷりが田舎町で続けていられること自体奇跡に近いという方もいるくらいですから、身を削るようにして包丁を握り続けること以外成功の道はないのでしょうね。


とりあえずの合格点でよかった。ほっ。