友 遠方より来る
初めてお越しのお客様の時には、その方々の性別、年齢、身なり、玄関からお入りなった時の雰囲気など意識しないでも自然に観察しているものです。
お召し上がり具合はどうであろうか。
お酒の選択は。
料理のペースは。
修正すべきところはできる限り修正しなくてはいけません。
お得意様と学生時代からのご友人四人が久しぶりに集まる会がありました。
まさに「友 遠方より来る。また楽しからずや」であります。
70年配の方々でしたので、美味しいものを少量、お酒はあまりマニアックでない切れ味のいいもの、料理のペースはゆっくりと・・・・などと調理場にも指示を出したものの見事に裏切られました。
出てくるお酒の話題は「飛露喜」から「十四代 龍月」「天狗舞古古酒」「モンラッシェ」「酒の余韻後味」・・・・70年配が・・・・といったら怒られてしまいますが、私の経験からすると、飛露喜の味の厚みや、十四代の膨らみは「甘い!」と感じ、古酒のひね味を理解していただくのは難しい世代です。
人生の大半を熱燗で過ごしてきた方々です。。。。。というのは全くの私の偏見でした。
地位も名誉も財力もすでに得ている方々は、当然召し上がってきたものも半端ではなさそうでした。召し上がるペースも分量もひ弱な若者の比ではありません。
お話は知的で、お酒をすごされても程よく酔われ乱れることがありません。
友が友を呼び、遠く離れても睦みあうこと数十年。年はこういう風にとりたいものです。