アラ


今日のランチ 鮪の鉄火丼は生の極上ミナミ鮪。おいしそうな鮪です。超お奨め。


「アラ」とか「中落ち」といわれる魚の骨とそれに付いた身の部分があります。一匹の魚を三枚おろし、五枚おろしにしてボーンレス(骨なし)にしなくてはお刺身にも焼き魚にもなりませんので、この状態にするにはうろこや内臓、骨など全体の40-50%は捨てる部分が出てきます。


お刺身用も焼き魚用も仕入れる私としては「この一本しかない」くらいの思い入れがある魚が多いものですから、アラも捨てるには忍びありません。ましてや、カマや頭、腹のすき身は脂が乗っていて美味しい部分でもあります。


お得意様の中には魚の頭さえあれば他にはないもいらない・・・・というほどアラ好きのお客様もいらっしゃいますので、そういう方のためにはそのものを塩焼きにしたり、アラ焚きにしたり、骨蒸ししたりします。


先日、3kg近い縞鯵が入ったときの中骨の塩焼きは、本体のお刺身以上に好評でした。


ほかにも、鯛や平目などの淡白な白身の中落ちは素焼きにして身を丁寧にせせって炊き込みご飯。


すり鉢ですって甘辛く味をつけて湯煎にかけたオボロ。炊き立ての茶飯にかけます。


骨ごとコトコトに込んで出汁をとり身ははずしてゼラチンで固めた煮凝り。


丁度今、献立に使っている「白だつ 胡麻身びたし」もこの素焼きにした中落ちがなくてはなりません。


同じように素焼きにして丁寧にせせった身をすりつぶし、同分量ペースト状にした胡麻を混ぜ合わせて煮きり酒、醤油、砂糖などで味をつけたものを身びたしと呼びます。見た目は胡麻クリームなのですが、中身の半分は上等な白身を焼いたものです。


淡い味で煮ふくめた白だつに濃厚な味の胡麻身びたしの相性はなかなかのものではないかと思っています。


見えないところできちんと手間をかけ、美味しいものは無駄なく使い切る。


私の理想系の仕事です。


ただ、ほとんどお客様は焼いた白身が入っていることには気づかれません。胡麻味の野菜・・・くらいに思っておいでなのでは?


野菜を焚いただけ・・・・に見えるものにてんこ盛りのご説明はしないのが賢明なのでしょうね。