長いお付き合い


10年〜15年ほど前でしたら、食材を仕入れる仕入れ業者のほとんどが長いお付き合いを保っている店ばかりでした。


たぶん店を新しくして、食材を突き詰めていくことが可能になってからなのでしょうが、「長いお付き合い」だけでは対応できない店がしだいに増えてきました。平たく言えば旧態然とした品揃えしかない店では、いただくものがなくなってしまうのです。仕方ありません。


情報が氾濫し、流通が劇的変化を繰り返している昨今では、ちょっとでも勉強を怠っている店はあっという間に取り残されていきます。お付き合いを大事にするという人情を云々する時代は残念ながら過去の話になってしまいました。


つい最近、長いお付き合いの酒屋さんに「このごろ注文が少ないですが、何か不都合でもありましたでしょうか?」と聞かれてしまいました。近所でもありお付き合いもかなり長いのですが、灘伏見の大手の銘柄酒と、どこにでもあるビール、いいちこ、二階堂の焼酎、しかも特別お安くなければ私ン処でいただくものがなくてもしかたありません。


一般家庭でも晩酌用のビールを足を伸ばして安売り店でまとめ買いする時代です。


安売り店でさえ、どこにでもあるタイプの安売り店には閑古鳥が鳴いています。特徴のないとうちゃん・かあちゃんの町の酒屋さんはさまに危機の時代です。


いいお酒を探すことにやりがいを感じ、お客様に喜んでいただくことに熱心で、時代を正面から見据えている酒屋さんでなければ生き残れないかもしれません。


実際私ン処で、今お付き合いの深い酒屋さんは8割が浜松以外の方々です。彼らは常に新境地を切り開いているのですが、それを勉強などとは思っていない節があります。


同じことは、野菜、魚、肉、調味料すべてのことに当てはまります。


料理屋にしても同様なのです。古くからのお得意様だから浮気をしない・・・・という悠長な方はほとんどいらっしゃいません。店に魅力を感じなくなればあっという間にいらっしゃらなくなるはず。。。。


全く厳しい時代です。