さより
さより 針魚とか細魚などと書くことがあります。
春の到来を告げる魚といわれます。
獲れる場所にもよるのですが、水揚げされたばかりのさよりは緑色がかったグレーの背をしていて、うろこもあります。
今日入荷したものは千葉産、舞阪産、奥浜名湖産の三種類がありました。
皮の色も、触った弾力感も、大きさもそれぞれ違います。値段にいたってはほぼ倍くらいの開きがあります。
生意気な言い方ですが、「使いたいな・・・・」と思ったのはこの三本だけです。
奥浜名湖産で獲れた総量も2kgだけの中から選りすぐった三本です。一番大きなものは40cm(板前は長さで魚を表現しませんが、釣り人にはわかりやすいかもしれません)
三枚におろして、昆布を入れた塩水に20分、紙のように薄くへいだ白板昆布にはさみ半日寝かし、淡い昆布の味を移してから造りにします。
店で使わせていただくさよりはこの手の最上と思われるものだけのつもりでいるのですが、昨日のフリーでカウンターにお入りいただいたお客様には、きっちり一切れだけ残されてしまいました。
「お口に合いませんでしたか?」などと聞くわけにもいきませんので、すごすごとお下げしました。「お召し上がりになれにものはおありですか?」ともお尋ねしているのでしかたありません。
これ以上はないと思う品物をそれなりに調理していても、こういうことはよくあります。落胆は大きい。。。のですが。お好みの問題です。板前がとやかく言うことではありません。