板前の理性なき胃袋

”板前の理性なき胃袋”という題名で、昨年一年浜松のタウン誌へコラムを書かせていただいたことをこの日記にも書きました。


ネタのない板前ですから、書いた内容と言うのはサイト上の板前日記の焼き直しであることが多いのですが、地元以外の方は読む機会がありませんのでちょっとづつ紹介させていただきます。


と言うわけで昨年一月のコラムから・・・・・(前に日記で同じこと読んだぞっとはおっしゃらずに)


「初会(一見)〜裏をかえす〜馴染」


お得意、馴染などという言葉があります。料理屋でもお客様は馴染になることでより心地よいサービスを受けるようになり、魚ひとつとっても一番美味しいところを提供してもらえるようにもなるかもしれません。近頃では、特定の店に足繁く通うというだけで馴染と呼ばれますが、実は馴染になるというのにはある段階があったもので、もともとは遊郭などで使われていた言葉なのだそうですね。


気になる店に伺うには、最初はその店の馴染のお客様に連れて行っていただきます。これを一見(いちげん)とか初会(しょかい)とか言います。店の主なり女将さんなりに馴染を通じて紹介してもらい、素性が確かであることを証明しておきます。


次は日をあまり空けないで、前回いっしょだった馴染のお客様は抜き、自分で予約をして店に伺います。これを裏をかえすと言います。すぐに、裏をかえしておくことで自分を印象付けて「この店、気に入ったよ」という自己表明をしておくわけです。


そして三回目は少々間をおいてから伺う。ここで初めて馴染と呼ばれます。
間合いの妙、人間関係の妙など、昔の人の気遣い、心遣いが見えてきて感心させられます。こういう風習は今あってもおかしくはないと思うのですが、肝心の料理屋のほうにそういう素養と心のゆとりがないというのが問題なのかもしれませんね。


と、
一年ぶりに振り返ってみると、えらく短い文章であることに気が付く自分。この程度の内容でもウンウン唸りながら書いていたのですね。


と言うわけで
最初はかなり短めなのですが、回をおうに従って意味もなく長い文章になっていくのです。