日本の季節感


アメリカで板前修業をなさっている方からありがたいmailを頂戴しました。


かの地で読むと、素材感とか季節感と言うのは参考になると書かれていました。


日本で日本料理を作ると言うのは当たり前すぎるほど当たり前のお話で、その有り難味を実感していないところがあります。


つい2〜3日前に唐墨の仕込を始めました。


彼岸を過ぎても妙に暑い日があるときには、唐墨のもととなる鯔の子はまだ小ぶりだったのに、10月に入って涼しくなると一回り大きくなります。塩漬けにして干す今になると、ちゃんと晴れる日が続き日差しと風が干すのに最適になるのです。


2週間ずれたら鯔の子の状態も気候の状態も微妙に違ってしまいます。


日本の海と、日本の気候の変化が作り出す食材です。


なんと恵まれたことか。


秋や春は特に季節の変化が刻々と食材の変化に反映されます。三日前にはまだ使えなかった食材が、少し冷え込んだことでぐっと説得力をますことなどよくあるのです。


日本の四季の変化と豊かな食材を、肌で感じながら日々の仕事をさせていただくというのはまったく幸せな職業です。