匂い
匂いと言うのは染み付くものであります。
鰻屋さんの蒲焼を焼き上げる時の匂い。
洋食屋さんのドミグラスソースや玉葱を炒める時の甘い匂い。
イタリアン・レストランのニンニクを炒める時の匂い。
フレンチ・ビストロのバターの匂い。
これらは「匂い」と言うよりは「香り」と呼びたいもので、「臭い」では絶対にありません。
魚屋さんなども、繁盛していて掃除の行き届いている店は魚臭さが全くありません。私が毎朝伺う魚屋さんはもちろんそうです。
日本料理店ではどうでしょう。
私ン処では、お客様がおいでの時間にはお香を焚きますので、その香りはするのですが、いわゆる料理の匂いがぷんぷんすると言うことはあまりないかもしれません。
たまに見かけるあまりいい匂いがしない店は、手垢のように染みついた匂いではないかと思います。
日々のちょっとした怠りが積もり積もったものだとしたら、それは一回や二回の掃除では拭い去れません。
身体にまで染み付かないように気をつけなくっちゃね。