愛用

clementia2002-08-03



若い頃は和包丁以外を使うのは邪道だ、などと気取っていたのですが、今はそんな馬鹿馬鹿しい至上主義は持っていません。特にぺティナイフなどは洋包丁のほうが使いやすいでのす。


この包丁は料理研究家の有元葉子さんだったかの本で見て、デザインの美しさにクラッときたもので、デパートなどでも売っている包丁です。いわば和食の職人からすれば奥様ユースという感じで、職人が「私、これ使ってます」とは大きな声で言うのをはばかるような品物なのです。


ステンレス製の柄と刃が一体構造は清潔に保ちやすく、握ってみると思いのほか手にしっくりなじみます。和包丁の柄が使い込んで自分の手に馴染むのとは別の感覚です。


肝心の切れ味は特に素晴らしい。もちろんこれも和包丁とは別感覚なのですが、日々の仕事には全く支障がありません。


たまたま、ヴィデオに撮ったまま忘れていたTV番組で、日本の伝統技法を最先端技術に応用するという番組でこの包丁が取り上げられていました。


デザインからするとドイツあたりの新しいメーカーかなと思っていたのですが、なんと新潟の従業員60人の小さな町工場が作ったものだと始めて知りました。当然すべて手作り、8割は輸出用で海外のプロの信頼が厚いのだとそうです。


切れ味の素晴らしさと硬度水準の高さは、日本刀を伝統とする和包丁の技術から開発したのだそうで、鋼を鍛えると言う手法をステンレス合金に使っていると紹介されていました。


日本の町工場が日本の伝統技術に目を向けて、世界に通用する新しい製品を創り上げたというのは誇らしい気がします。それにしてもこのデザインは誰がしたんでしょう。これも日本人だったら凄いな。