ぬき板

clementia2002-04-21



最近では「プロが使う調理器具」と称して,素人が板前の使う器具を使うのが流行りでもあります。長時間に渡って酷使に耐えるような道具は機能的に優れていますので、高価でも家庭で具合よく長く使うことができます。


下手をするとプロより立派な道具を使う方もいらっしゃるくらいですが、普通のご家庭ではあまり見かけないプロ道具もあります。


例えば「ぬき板」


何でそう呼ぶかはわかりませんが、まっ、まな板みたいなものです。


まな板は基本的に素材を切るものです。私ン処にもお造り専用、魚専用、肉専用、野菜専用などの大小いくつものまな板があるのですが、このぬき板は素材を切るためには使いません。


調理途中の素材を置いておいたり、仕上がった料理を盛り付け前に置いたりするのに使います。


例えば、三枚におろした魚に塩を当てるには、このぬき板に塩を振り、魚を並べ、さらに上から塩をふります。バット(平たい缶)でもできないことはないのですが、濡れ布巾で拭いたぬき板のほうが、しっとり塩がなじんで魚から出る水分も幾分かは木が吸い取ってくれそうな気がします。


さらに、焼き物として焼きあがった魚なども、一度このぬき板の上に乗せてから焼き串を抜き、器に盛ります。直接皿に盛るということはありえません。


刺身も器に盛る前に、引いた魚を刺身専用のぬき板に5人分10人分と並べていき、それを若い者が器に盛るのです。


十数年使いつづけていたぬき板が壊れてしまって、新たに作らなくてはならなくなりました。ホームセンターへ行って板を購入するのに、「これこれしかじかに使う板はどのような素材がいいでのしょうか」と担当の方に伺うと、「そりゃもう、板前さんが使うならヒノキ。ヒノキしかありえません」とのたまいます。木の香りが素材に付かないという最大のメリットがあるからでしょう。


(ヒノキがベストであることはわかるけどまな板じゃないし、値段が高いからなぁぁ)と思っても、この担当のおじいちゃん(元大工さんか?)はヒノキ以外は許してくれそうもありません。十年以上も使う道具にケチってもしかたないかと、ヒノキを頂戴して作ってみました。


とはいってもそこから先は大工仕事をしなくてはいけません。この大工仕事ってのが私は大の苦手で、このぬき板みたいに板を切って並べて釘を打つっていうだけでも簡単に失敗してしまいます。


板前と同じ職人仕事・・・・みたいなものですが、根が不器用だからしかたありません。


としてみると、不器用な人間でも毎日同じ仕事を繰り返しやっていると、なんとか様になってお足を頂戴できるレベルくらいにはなるといういい証明かもしれませんね。


で、
ぬき板はなんとか成功。