赤むつ

clementia2002-04-20



土曜日の朝、生放送の旅番組で「赤むつ(ノドグロ)」を取り上げていました。


お決まりの漁港からの中継。茶パツ、作務衣のような法被のような作業着を着た板前さんが捕れたての赤むつをお刺身にひき、大根ツマ、菊の花、大葉(紫蘇の葉)、トサカ(海草)と器に盛ります。傍で数人の主婦が「赤むつは煮付けに限ります」とぶつ切りの煮付けを調理して、芸能人が新鮮な魚は美味い美味いとほうばります。


で、
私ン処でも赤むつです。


三河産。真子(まこ)を持ち始めた今は、身が肥えて脂が乗りとても美味しい時期です。


もちろん煮付けも美味しいし、釣り物が入手したときには昆布〆にして一日寝かせ、お刺身にしますが、今日の赤むつは焼き物です。


三枚におろして、中骨を抜き、塩をあてて脱水処理をしながら一日以上寝かせます。身が熟成した時点で薄口醤油、酒、味醂、出汁の若狭地をかけながらじっくり焼きます。同時に今が旬のうすい豆(グリーンピースの国産版)を茹で裏ごししてソースにして皿にひき、焼きあがった赤むつをのせて「赤むつの若狭焼き うすい豆のソース」の出来上がりです。


捕れたての鮮度のよさがご馳走であることは確かですが、魚はこねくり回さないことを前提にした処理をきちっとしてあげることで旨味を増します。そういう仕事をしてまっとうに美味しく召し上がっていただきたい。そういうのが私の仕事にしたいと思っています。


捕れたてだからそのままお刺身、捕れたてだからさっと煮付け、捕れたてだから単純に塩焼き・・・・じゃなくて、捕れたてを正しく熟成させて、いじくり回さない持ち味を引き出すための調理をする・・・・ってのが理想形です。