目指す道〜新しい潮流
ニューヨークのジャパニーズレストラン「ボンド・ストリート」がTVで紹介されていました。
連日満員の300席
寿司をソースで食べさせる感性の店。
そこでは寿司は無国籍で、ある意味インターナショナルに仕上がっています。
カリフォルニア・ロールからは世代が違います。
東京にある老舗日本料理店がプロデュースする、やはり連日満員の300席。
新日本料理とインカムをつけた若いサービススタッフ。
客単価は決して安くない。
それでも、雰囲気を求める新もの好きの30代―40代はこぞって出かけています。
そこに日本料理の新しい潮流はあるのでしょうか?
儲けるための商売としてはなんでもありだから・・・と頭で認めはしても、自分から食べ行ってみようとは頭から思わない自分の感覚が、すでに古くさび付いているのかもしれません。
溜まってしまった雑誌「dancyu」を処理しようと、1991年くらいからの古いバックナンバーから取り出して、必要な記事だけをファイルしています。
たった、10年前なのに料理の取り上げ方も、記事の内容もライターも驚くほど違います。さらに、紹介されている飲食店の9割は今では聞くこともない店ばかりです。1995年まで近づいても、イタリアンやフレンチで今でもにうわさに上る店はほんの少々です。
希望的に見れば、まだそれらの店は地道に仕事を続けられているのだろうと思うのですが、メディアの取材などというのはこんなものなのだろうと頭が痛くなってきます。
この十年くらいの間のメディアと飲食店の関係というのはどこか歪んでいます。
飲食店をおもちゃにするようなメディアと、メディアを利用して話題性を盛り上げ、実のないものを感性とやらで覆い尽くして儲けようとする飲食企業。メディアで紹介されたものはいい店であると飛びつく消費者。
などと、新しいい波に否定的な板前は、時代に乗り遅れているだけなのかもしれません。
輪島塗の業者と次のお椀の図柄を話しながら、元気のいい店の話になりました。
いわゆる大きな老舗は不況で苦しんでいるようですが、比較的新しい元気な店は不況にかかわらず、定期的に新しいお椀を注文してるそうです。
たとえば、東京「小室」、京都「桜田」、大阪「本湖月」
どれも気になる店、伺ってみたい店です。
こういう地に足のついた店にこそ私の目指す道が見えます。