山葵(さわび)

clementia2001-10-27



静岡の北、「梅ヶ島」産の山葵(わさび)です。


普段から使うのはこの山葵です。


はじめて入るお寿司屋さんで、本山葵をすってるのを見たりすると、財布の中身を確かめたりしませんか。


山葵というのはあくまで脇役、でも、手抜きをすると本体(たとえば刺身)は台無しになってしまいます。


こういう山葵を味わうと、山葵というのは柚子や木の芽と同じく香りを楽しむ物だと実感できます。もちろん辛味も大事ではあるのですが、口に広がる香りが鼻にぬける感覚は山葵独特のものです。


魯山人の有名な逸話に「トゥール・ダルジャンの山葵」のお話があります。


鴨料理で有名な「トゥール・ダルジャン」を魯山人が訪れた時、「ソースをかけずにそのままこちらへくれ」と頼み、持ちこんだ醤油と山葵で食して「この方が美味い」と言ったというのです。


話に尾鰭がついて「本山葵と鮫皮のおろしを持ちこみ」などという風に説明されたものを見たこともあるのですが、こちらの方がいかにも魯山人らしいお話みたいです。


が、
実際には丸金印の粉山葵であったと、魯山人自身が書いていて、「この粉山葵というのはよく出来ている」とも明言しています。


当時は山葵といえば本山葵しかない時代です。水で溶くだけで出きる山葵は大発明だったのでしょうね。


あの魯山人が粉山葵なのですから・・・・・時代は移ろいゆくものです。