住めば都
人間なれてしまえばどんなところでも生活していけます。
私の場合、大阪での修行時代は寮住まいでした。
寮といっても6畳くらいの窓がない部屋に、作り付けの二段ベットが二つあるだけのところで、丸々三年暮らしていました。
部屋にはじめて連れいて行かれた時は、世に言う「たこ部屋」のような様相に、目の前が真っ暗になったのですが、1週間もすれば慣れてしまいます。
窓がないといっても、困るのは朝起きた時も夜も電気をつけなければ真っ暗という事くらいで、朝八時くらいに出勤する時から、夜11時くらいに帰るまで戻らないのですからなんてことありません。
自分のスペースは一畳分のベットの上だけです。
枕もとのカセットレコーダーと、壁に自分で取り付けた棚に並んだ本。
今考えると、着る物はどこに置いていたんでしょう?思い出せません。もっとも、ジーンズとT-シャツ、ダウンジャケット・・・・これくらいでなんとかなってしまうのですから、どこかに引っ掛けてあったのだと思います。
私物なんてないっていったらない・・・という状況です。TVを見る間もないのですからほとんど島流し状態でした。
お金を使うところがなさそうで貯金が出来そうですが、少ない給料の半分は本代と包丁のローンに消えていました。
自分のスペースやプライバシーがなくても慣れてしまうのですが、唯一寝ぼけて、やっつけで取りつけた、本が山積みになった棚を蹴飛ばした時、本の山が寝ている身体の上に崩れてくるのだけは重くてしんどかった覚えがあります。
若いときはそんな環境でもなんともないんですよね。
座して半畳伏して一畳(だっけ?)、ってストイックに集中力を高めてくれるかも?