土瓶蒸し
土瓶蒸しは松茸と鱧さえあれば成立します。
それほど松茸と鱧の相性はいいものです。
国産の素性のいい松茸が手に入るのであれば、鱧はやっぱり舞阪、伊良湖産などの地物でなくては松茸に申しわけありません。
地物の鱧が入手できなければ土瓶蒸しは止めです。
瓶詰めの銀杏、冷凍の海老、水耕栽培の三つ葉・・・・どれも松茸に申し訳なくて使えません。それなら松茸と鱧だけの土瓶蒸しにします。
愛知 稲沢産のむっちりした銀杏、浜名湖のさい巻海老、茨城の根三つ葉・・・・これらが手に入るとなれば、さらに贅沢さと豪華さが加わった土瓶蒸しになります。
どの素材一つでも「まっ、仕方ないから(原価にあわないから)この辺にしとくか」といい加減な妥協をすると、一皿の清廉さがガラガラと崩れてしまいそうな気がします。それなら使わないほうがいい。
そういう思いは出し汁の鰹節、昆布、塩、水すべてに渡ります。
さらにそういう思いは、すべての皿に反映させたいものです。