研修レストラン
講師をさせていただいている調理師学校が、研修レストランといった感じのものをやっています。
学校の生徒達にそのレストランで実施研修をさせて生の現場を体験させる試みです。(フランスでは当たり前のようにあるそうです)
とはいっても、常に常勤の優秀な講師達が目を光らせ、調理の決め所はしっかり押さえていますが、フロアは生徒達のおぼつかないヨタヨタしたサービスです。
昨日、初めてそのレストランを覗いてきました。
理事長も校長も副校長もベテラン講師達も勢揃いで、あっちでご挨拶、こっちでもご挨拶でしたが、このメンバーがそちこちにいれば生徒達も気を抜くわけにはいかないでしょう。
いただいたパスタランチは気のきいた前菜に、三種類のパスタのチョイス、焼き立てのパン、デザートにコーヒーで850円。
作るのは力のあるイタリアンのシェフです。不味いわけありません。反則です。周りのレストランのランチは困ってしまいます。
生徒達のサービスのおぼつかなさをさっぴいても安すぎます。混んでるわけです。
勉強としての調理しか知らない調理師学校の生徒にとって、こういう現場での仕事はとても役に立ちます。本人達はほとんど意識していないでしょうが、料理人にとってお客様に直接触れることほど大事な事はありません。
日々コストに見合った料理を作り、お客様におだしすのは毎日が試験のようなものです。
一回でもダメならお客様は次に来店してくれません。来てくれなければ店が成り立ちません。
即お金につながり、生活の裏づけになることが緊張感につながり料理人を成長させます。教室の中の勉強にはそういう緊張感は存在しません。
以前に日本に停泊したクイーン・エリザベスⅡの食事が期待ほどでないと話題になったことがあります。
一度船に乗ってしまえば間違い無くレストランに訪れるお客様を相手にするのと、来てくれるかどうかわからないお客様を惹きつけようと努力するのでは、自ずと力のさが出来てきても不思議ではありません。
調理師学校のこういうレストランの試みはきっと生徒達を目覚めさせてくれるでしょう。それ以上に、普段生徒達だけを相手にしている教授陣にとってこそ良い刺激になるはずです。
案外それが目的だったりして・・・・。