沢煮椀


お椀の献立にはいつも頭を悩ませます。


ウンウン唸っても
なかなかアイデアが出てきません。


で、
8月後半からのお椀を唸った末に「鱧の沢煮椀」にしました。


沢煮椀というのは細い千切りにしたたくさんの野菜と、豚の背脂を細切りにして椀種にしたものです。


背脂を今回は鱧にしました(といっても私のオリジナルのアイデアではないのですが)


人参 牛蒡 独活 椎茸 エリンギ 三つ葉などを細切りにして・・・・といっても各種の野菜の特性と歯ざわりの違いがありますので、微妙に太さを変えてさらに別々に下煮をしておきます。


鱧は地物を使い、骨切りして素揚げにします。


出し汁は鶏がらとモミジ(鶏の足)でとった濃厚なスープと、鰹出しを半々で割ります。


仕上げの香りには引立ての黒胡椒を使います。


日本料理のお椀に黒胡椒というスパイシーな香りはあまり使わないのですが、沢煮椀には絶対黒胡椒です。黒胡椒がなかったら面白みが半減してしまうと思うほど、その香りとパンチがお椀自体を引き締めてくれます。


見栄えはあまりよくないのですが、脂分と黒胡椒が夏の疲れをスッキリさせてくれるお椀です。


野菜と豚の背脂だけなら家庭でも出来そうな気がしますが、実際にはかなり手間のかかる一品、ぜひ召し上がって見てください。