石の上にも三年


昨日就職説明会へ行って来たお話をしましたが、毎年主に調理師学校から若い見習君が入ってきます。


この道の修行は五年がメド、十年が一区切り、いや一生勉強だと様々なことを言いますが、まずは最初の三年を無事一つの店でクリアすることがとても重要だと思っています。


石の上にも三年とはよく言ったものです。


昔はそんな言葉は爺さんの戯言だなどと不遜にも思っていたのが、実際多くの若者を見守って、さらに自分自身を振り返ることも含めると、三年と言う月日は板前の最初の修業にとってとても大事な期間だと実感しています。(もしかすると自分が爺さんになっただけなのかもしれませんが)


店によっては三年間はただの追いまわし(ぼんちゃん、あひるとも言います)だったり、一つの部署の仕事を任せられたりする店もあって程度の差はかなりあるのですが、出来上がった板前さんは案外同じようなレベルに到達してます。


仕事の具合が見渡せてきて、調理長や主人が何を望んでいるかが即理解できるようになるのです。そこから先4年目、5年目は順調に行けばスポンジが水を吸うようにドンドン技術が向上していきます。


10年くらい前まではこの三年間を無事勤めるのが当たり前でした。


途中で挫折する子の方が少なくてかったのですが、時代は間違いなく変わってきています。


半分は途中で辞めてしまうのです。


辛抱がなくなったのか、テンポの速い世の中で三年などと悠長なことを言っていること自体が間違いいなのかもしれません。


居酒屋のチェーン店では三週間で店長を育てるのだと聞いたことがあります。地道な三年、五年なんて、どれほど納得して入ってきても無理なんでしょうか。


でも、この道で志を高く持ちつづけている方々は皆そう言う時代を経てきています。


三年と言うのはそういう志の下地を作る時期だったのかもしれません。