番菜

番菜(ばんざい)というのはお惣菜の事。


関西ではこんな呼び方をします。


修行時代、番菜作りは新米の大切な仕事のひとつでした。


使う材料は原価がかからないもの、野菜の屑とか、魚の中落ちとか、カマとか。


魚の中落ち、カマと聞くと美味しそうでしょ。


が、
本当に美味しい部分であれば、当然お客様のところへいきます。


TVの悪い影響で、料理人のお惣菜の方が美味しい、などという情報を聞いたりするかもしれませんが、そんなことは100%ありません。


美味しいものであれば、お客様に召し上がっていただくのが当たり前ですし、そんな技術を持つものであれば、惣菜作りから一気に格上げされるはずです。


以前にやはりTVで紹介していたフランスのレストランのこと、シェフは一生懸命弟子たちのお惣菜を作り、弟子達が店の料理を作る。弟子達を上達させるには美味しいものを食べさせるのが一番だから・・・・という趣旨のことを取り上げていたことがありました。


ありえません。


あったとしても、そういう店にはあまり行く気がしません。


私ン処では、店の若い者が毎日交代でお惣菜作りをします。


休憩時間を惜しんで一生懸命作るもの、様々な本を買いこんできては勉強するもの、手抜きばかりを考えるもの、三者三様です。


そうやって出来てきたお惣菜を食べるのは、時々ある種の実験のようなこともあり、試食のようなこともあります。この子の作るときは苦行・・・という事だってないわけではないのです。(今のスタッフのレベルは高いです)


お惣菜作りがいかにいい勉強であるかを、早く理解すればいいのですが、遊びたい盛りの若い者達にどれだけわかるか・・・・。


この仕事に対する姿勢とか、味付け、発想、盛りつけ、毎日のバランスなどを見ていると、彼らの才能の一端が端的に見えます。


完璧に将来の姿が見えるといっても過言でないかもしれません。


怖いでしょ、たかがお惣菜作りでも。