鶏のスープ
鰹節と昆布の出汁は日に2回、毎日とっていますが、今月は鶏のスープを頻繁に作っています。
聖護院大根を炊くためです。
鶏がら15羽分、モミジ(鶏の足)4kg、水15升、香味野菜からコトコト コトコトおよそ五時間。
15升の水が4升ほどになります。
その間は「アク取り大王」、ひたすらアクを取りつづけます。
こうして出来上がった濃厚なスープは、常温でも煮こごるほどゼラチン質たっぷりです。
中華やフレンチの職人さん、ラーメン屋さんにとってはこんな仕事は当たり前、日常的なことなのでしょうが、日本料理の職人がこの分量のスープを日々作ることはあまりありません。
毎日やっていると、自然にコツらしきもの、仕組みらしきものが次第に見えてきます。
さまざまな食材をたっぷりいれて時間をかけて煮込むというのは、日本料理では使わない手法ですので、どの食材をどれだけいれて、どれほど煮こむとどういう味になるかをイメージするのが私にとっては難しい仕事です。
ラーメン屋さんが「秘伝のスープ」と言ってもったいぶって作るのは、このたぐいのものだと思うのですが、やってみてわかるのは、時間をかければいいというものではないこと、さまざまのものをいれればいいというものではないということです。
ベースになるスープをどれだけまじめに取り、イメージする味を得るためにどんなものを足していくかだけです。もったいぶる秘密の仕事ではありません。
で、
作り上げたスープを二番だしで割って、一時間ほど下煮した聖護院大根と素焼きにした地鶏の骨付きもも肉をさらに一時間ほどコトコト、コトコト。
酒と塩だけで味をとってゆっくり冷まします。
恥ずかしいほどシンプルな料理ですが、イメージは濃厚さを感じるけどあっさりした味が含まされた大根。
スープが濃厚であれば良いわけではないけれど、ベースには濃厚なスープが必要になる。味の主張はすべて大根に集約される。
そうなってるかなぁ・・・・・。