米造り酒造り


ワインは同じ作り手が葡萄作りから醸造まで一貫して行うことが多くて、ブルゴーニュ地方などではネゴシアンという形態があるにせよ、今もてはやされるワインのほとんどが、自社の畑を持ち、自分が栽培し収穫した葡萄でワインを作っています。


日本酒ではどうか?


ずいぶん多くの蔵が米作りに興味を持ってはいても、契約栽培農家への委託が最善くらいで、大阪の「秋鹿」のように山田錦栽培まで実際に手がけている蔵はごく少数です。


昔から杜氏さん、蔵人さんは、雪深い地の農家さんが冬のための仕事として携わったと聞きます。


であるなら、酒米造りから酒造りまで一貫して自分の手でやってみようという方が出てきてもおかしくはないのではないかと思います。(法的規制を取り除けば)


今の時代のように、いいものを造ろうとするときに素材から厳選しようとすれば、元の素材まで自分で造ろうとするというのは自然な流れです。


米造りも、酒造りも経験に裏づけされ、受け継がれる難しい作業と思われがちです。しかし、それはワインとて同じこと。


フランスでは学校でワインつくりを学ぶことができ、ヴェルジェのジャン・マリー・ギュファンスのように一から初めてスターダムにのし上がったワインの造り手がいます。


杜氏さんの後継者が不足し、兵庫県では日本でも最高の山田錦の産地であるにもかかわらず、農家の高齢化と後継ぎ問題を抱えているそうです。


廃業する酒蔵、田んぼを売り渡す農家さんから買い取る形で、新しいドメーニュ○○なんてできたら日本酒の新しい時代の幕開けです。


日本でも、自分が理想とするような酒を目指して、酒米の栽培から土にまみれてみようとする若者がいてもおかしくないような気がするのですが・・・・。


私ならそんなことしてみたい。


老後の仕事としては体力的に無理ですが、フランスやカリフォルニアでは事業で成功した経済人がワイン造りに没頭し、二度目の栄光を掴み取るというのはあることです。


私の場合、最初の栄光さえないわけですから無理な話であります。