ドメーニュ


ワインに詳しい方は流して読んでください。


フランスワインの二大産地と言えば、ボルドーブルゴーニュです。


二つの産地はどう違うのか?


いろいろな差があるのですが、一つに生産者の規模の違いがあります。


一概には言えませんが、大まかに例えると、ボルドーは社長がスーツを着て出てくるような大会社、ブルゴーニュジーンズでいつも畑に出ている農家のおじさんという感じです。


ボルドーは生産の規模が大きくて、畑も何十ヘクタールという広さを持ち、工場のような醸造所で造られ、一方、ブルゴーニュは一人の生産者の畑の面積が小さくて、中にはたった0.何ヘクタールの名畑のワインを全世界のマニアがほしがると言う具合です。


で、
話はブルゴーニュ


前の日記で「ドメーニュ○○」などと書きましたが、ブルゴーニュワインで大切なのが、ドメーニュ。


葡萄園とでも言うのでしょうか、葡萄畑を持ち、栽培し、収穫した葡萄でワインを醸造する作り手のことです。(農家のジーンズおじさんね)


ブルゴーニュにはドメーニュに対して、ネゴシアンというのもありまして、酒商とでも言うのでしょうか、自らは畑を持たず、農家から葡萄を買い付け、醸造をするメーカーのことです。昔は、ブルゴーニュでもネゴシアンの勢力が強かったのですが、今いいワインを造るのはドメーニュのほうが多いと言う時代になっています。(ルロワ、ヴェルジェ、ルイ・ジャドなどのネゴシアンの別格もありますが)


比較的よく知られるブルゴーニュのドメーニュは、ボルドーのように一箇所に広大な畑を持つよりも、この村のこの畑に○ヘクタール、こっちの村には○ヘクタールという風に数カ所に細かく畑を持っています。


ボルドーブルゴーニュの違いのもう一つに、ワインボトルのラベル表記の違いがあります。


ボルドーは有名なシャトー○○という風に(シャトーと言っても必ずしもお城を持っているのではなくて○○酒造みたいなものです)生産者の名前が一番大きく書いてありますが、ブルゴーニュはまず、造られた地域が書かれています。


シャブリもヴォーヌ-ロマネもそうです。生産者は下のほうに幾分小さく、ドメーニュ○○という形で表記されるのが一般的です。(ブルゴーニュにはシャトーを名乗る生産者は少ない)


ですから、ボルドーはラベルの一番大きな文字を見れば、そのワインの味の想像もおおよそつくのですが、ブルゴーニュは大きな文字だけでは造られた地域がわかるだけで、生産者の顔は見えません。ましてや、同じ地区に小さなジーンズおじさんがごまんといる訳ですから、ドメーニュ○○を見なければ、ワインの味の想像はできません。


さらに、ごまんといる生産者のブドウの栽培技術と醸造技術は天地ほどの差がありますので、「”シャブリ”っていうワインを飲んだら美味しかったから、もう一度シャブリを・・・」と思ったって、どのドメーニュのシャブリだったか(さらにさらにいえばどの畑?)がわからなければ再び美味しい思いはできません。


有名なルロワの総帥マダム・ビーズが「ブルゴーニュには良いワインと悪いワインがあるのではなく、良い造り手と悪い造り手がいるだけだ」と言ったそうです。


「美味しいブルゴーニュワインだな」と思われたら、ヴィンテージ(生産年)とジュベリー−シャンベルタン、ミュルソー、クロヴジョなんて言う名前だけでなく、ドメーニュ○○という生産者の名前を必ず記憶しておいてください。生産者の名前さえ覚えていれば、その他は忘れても大丈夫、というほど大事なことです。


大企業の社長の名前を覚えるより、農家のおじさんの名前を覚えたほうが親しみがわくでしょ。


ブルゴーニュワイン話はもう少し。