かつらむき

お造りのツマというと、誰でも思い浮かべるのが大根けん。


大根けんとは、極細切にした大根のことですが、ツマ=けんと思われている方も多いと思います。


実際には、大根けんも刺身のツマのなかの一種というだけで、本来ツマも季節によって変わります。


たとえば、独活(うど)、より人参、芽カンゾウ、水前寺海苔、岩茸、莫大、長芋、花丸胡瓜、諸胡瓜、芽紫蘇、青紫蘇、菊のり、紅蓼、二十日大根、春菊新芽、小松菜新芽、等等等・・・・


となると、年がら年中大根けんということは、私ン処ではありえません。(仕出し弁当は別です)


けんを作るには、かつらむきができなくてはならないのですが、新人の若い調理師にとって、かつらむきは第一のハードルです。これが出きるようになると自分でも包丁が使えるようになった気がするものです。


今でこそ言えることなのですが、かつらむきなど数さえこなせば誰でもできること。


が、
見習いに成り立ての頃はだれでも、大根を薄く、切れないように剥いていくことがなかなかできなくて大変苦労します。


私などはぶきっちょの最たるものですから、どれだけ秘密練習をしたかわかりません。


私ン処へ新人が入っても、大根けんを切るためのかつむきは、一年中毎日はしませんから、なかなか皆上手になりません。


一部では「日本料理の包丁使いの基本」と言われるかつらむきに、習熟できない店というのは、いかにもまずいのですが、いつ行っても「刺身に大根のけん」という店にいるよりは少しは筋がいいかな?と感じています。