今年の夏休みⅢ〜翁
小淵沢の隣、長坂には「翁」というそば屋があります。
1980年代初め(1982年だったか?)、山本益博「東京味のグランプリ200」いう日本のミュシュラン ランキングの先駆けとなった本が出版されました。
その本の「そば」の項に、当時一般には最高峰とされた「藪御三家」「まつや」などを押さえ、堂々の三ツ星を獲得したのが、開店5年目だったかのの「翁」です。
当時は南長崎(東京)にあって、それから2〜3年後にはそばを打つための最上の環境を求めて、長坂へ移転したという記憶があります。
ホテルで渡された地図を見ても要領を得ず、迷い迷って、聞いてはいても「ここまでわかりにくい場所か」と思うほどの田舎の片隅、木立の中に小さな店が存在します。
☆開店11:00 閉店15:00
☆月曜日 火曜日休み
☆「ざる」「田舎」の二種類のみのメニュー
☆日本酒はたくさん
☆込み合うときには1時間くらいの待ち時間(木立の中にベンチが点在します)
☆20人ほどの客席なのに、調理場には6〜7人の修行僧を思わせる若い見習、年期が入っていそうな職人二人、有名な親方
☆冬場の長期の休み
☆やってくる車は東京 横浜 名古屋・・・・県外の大都会のものがほとんど
ここまで客に媚びないスタンスを持つ店でも、常に客足が絶えないのはひたすら「翁」のそばを食べたいからです。
これは、「翁参り」と呼ばせていただきたい。
遠くから車を飛ばし、迷いながら辿り着き、じっと待ち、食べるのは葱と本山葵のみが添えられたそば。
席に着いたお客は、一口食べてはお互いを見て満足そうに頷く。
ざわざわした賑わいとは別空間です。
グルメ嫌いがみたら「そばをこんなに食べ物にしてしまったのはどこのどいつだ!」と叫んでしまいそうな風景です。
が、
いいんです。ここに集まったのは「お参り」をする信者なのですから。
実際の味の感想は・・・・
素晴らしい!
そばの味、香り、つやのよさ、喉ごし、手抜きの一切ない薬味、そばツユのバランスのよさ、すべてがこれまで食べた中の第一級品のひとつです。
そば好きは「翁」で食べずしてそばを語るな、というような処があります。
私も大のそば好きの一人、これでそば好きは公認されるでしょうか?
でも、そば食べるだけのために車を4時間飛ばすのはちょっと考えます。アルファ、ジャグァー、ポルシェなんかで走るなら話は別だけど。