お椀を持って
TV番組で、三人のタレントが高級料亭で食事をしている姿を映していました。
ハモと早松(サマツ:超走りの松茸)のお椀、全員がお椀をテーブルに置いたまま、ハモをつついていました。
料理は作法よりも自分が気持ちいいように食べる・・・が、基本だとは思いますが、お椀は手にとって食べる物です。ご飯茶碗だって手に持たずに食べたら、お母さんに怒られたでしょ。
食べる姿を人に見られる方は気をつけた方がよいです。
お里が知れます。
昔、食事はテーブルではなくてお膳で食べる物でした。
お膳を前にしたら、器を持たなくては食べにくくてしょうがありません。必然的にお椀だけでなくすべてのお皿は持ち上げた方が食べやすいものでした。
いまではお膳の変わりにテーブルになり、正座ではなく椅子が多くなり、料理店でも掘り炬燵方式が全盛になりつつあります。
このせいで、器を持たなくなり、肘を付いて食べることも不作法と思わない若者が出てきています。
食事の姿というのは、小さいときからの躾に大きく関わってきます。お父さん、お母さんがどれだけきちっと躾てきたか。昨日今日気持ちを改めてもすぐ身につけるモンではありません。残念ながら。
ついでにいえば、お椀を持つ時は両手で持ち上げ、左手で掴みます。右手でお箸を持ち上げ、左手の中指と薬指の間に軽く挟んで、右手で扱ってつかめるように持ち直します。
この動作が自然に流れるようにできると、かなり優雅でかっこいいです。
もう一つ、香り(木の芽、柚など)は箸でつまんで口元近くに持っていき、汁をすすると香りが豊かに感じられていいものです。
と、ご託を並べ立てましたが、私ン処で食事するときにはあくまで作法にこだわらず、お好きなようにお食べください。絶対に四の五の言いません。
ただ、背筋が自然に伸びて、身のこなしが優雅で、しかもリラックスして召し上がっていられるお客さまを見るとやっぱり惚れ惚れしてしまいます。