砥石
一般の家庭では切れなくなった包丁はどうしているのでしょうか?
砥石を常備しているお家なんてあんまりないんでしょうね。
切れなくなったら、新しいのを買う?って聞いたことがあります。ホントでしょうか?
日本料理の職人は包丁を研ぐのも大事な仕事の一つです。
包丁の切れ味に「道」を見つけてしまう「包丁道」なんていう職人さんもいますが、私など「切れればそれでいいじゃん」という方です。
ただ、切れない包丁は仕事がしづらいし、遅くなりますので、実質的にそこそこのいい包丁と砥石は、「包丁道」は抜きにして必要になります。
昨日京都へ出かけてきたのは「桜田」さんに出かけるためだけでなく、砥石や箸、お香などの品物を手に入れるためでした。
今まで愛用していた砥石が割れてしまい、適当なものを探している最中でもありました。
普通の人工砥石であればどこでも手に入りますが、天然の砥石というのは、産出量も次第に減ってきていて、筋の良い専門店でなければ持っていません。
さすがに京都にはそういう店があります。
天然でも人工でも、要は包丁が切れるようになればいいのですが、一度、天然砥石を知ってしまうと人工は使う気がしなくなってしまいます。
刃がねっとり吸い付くという感じに仕上がるのです。こうなると研ぎという、地味な、お客さまの目には触れない作業も楽しくなります。
今回は赤門、青門、門前と,、段階の違う三種類の砥石ともいいものが手に入って(天然ですから型や目の細かさがまちまちです)大変満足でした。久しぶりに気に入った砥石に出会えた気がします。
極上の本焼き柳刃包丁が一本買えるほどの値段ですから、宅急便など考えもよらず、大事に抱えて帰りました。
あまりの重さに、その日の夕食のご飯茶碗を持つ手が震えたりして、どこまでも運動不足で軟弱な板前でありました。