桜田

八日市の名店「招福楼」の調理長を長く努め、10年少々前に京都に開店なさった「桜田」さんの噂はずっと聞いていました。


中心から少々はずれていても客足が絶えない。


昼席はいつも女性客でいっぱい。


予約を取るのが難しい。


私ン処へも出入りする輪島塗の業者曰わく「最近は、親筋の招福楼さんよりいい器買いはりまっせ」


で、
伺ってきました。


完敗です。


料理は勝ち負けではないけれど、気持ちは完敗です。


料理¥30000以上の店には勝とうとも思いません。目標ではあっても雲の上の存在ですし、「うまいなあ」「すごいなあ」と思っても、今同じ土俵で考えることはありません。


桜田」さんは料理¥10000〜¥18000、京都の水準では、決してめちゃくちゃ高い店ではありません。


私ン処にしても、将来を考えれば決して追いつけない値段でもない。(値上げして良い店になろうというわけではありません。決して)


が、
先付けの「はもと巻海老の湯引き 加減酢掛け」 お椀の「焼き茄子とはも 浜防風の香り」をいただいただけで料理の洗礼、味わい、器、後の6〜8品のレベルの高さがすべて見てとれました。


実際、続くすべての料理が素晴らしいもので、技術云々、素材云々の問題ではなく、「桜田」さんの志そのものが、私ン処などより遙か彼方高いところにいらっしゃいました。


今、私がじたばたしてもとても追いつける処ではありません。


もう一度、気持ちをまっさらにして、謙虚にやり直しです。


開店10年少々で、この料理、この器、この志・・・・


私の3倍の才能が、10倍の努力をしているはずです。間違いありません。