フォー
最近の料理研究家の本の中には、職人の書いた料理本よりも優れたレシピが載っていることがよくあります。
有元葉子さんもそんなひとりです。
彼女のベトナム料理への造詣はたいしたものです。
本に載っていた「フォー」を気まぐれに作ってみると、簡単なのに予想以上においしい。
材料:そーめん300g
鶏胸肉2枚
チキンブイヨン6c(スープの元3ヶ)
ニョクマム(ナンプラー)
エシャロット1/2ヶ
バジル ミント パクチーなどの香菜
1.鶏の胸肉を一口大に切ってチキンブイヨンで10分ほど煮込み、ニョクマムで味を付ける。
2.エシャロットを厚めにスライスして油でカラット揚げておく。
3.そーめんを茹で、ざるにあげたら器に入れ、1.のスープと鶏肉を注ぐ。
4.揚げたエシャロット、香菜を生のままちぎってたっぷりのせる。
好みで、スイートチリ、トウバンジャン、酢橘などを入れるとさっぱり辛くておいしくなります。
ニョクマムでなく塩、パクチーでなく葱ならつまんない煮麺になるところですが、ちょっと替えるだけで毎日でも食べられる(麺好きの私だからかも?)エスニックになります。個人的にはスイートチリも欠かさない方がいいと思っています。
開高健のベトナム戦争のルポルタージュにはよくこのフォーを屋台で食べる描写が出てきます。ベトナムについて一番にするのがフォーを食べること。屋台のフォーをしゃがみ込んで啜ってやっと「戻ってきたぞ」と身体が感じるのだそうです。
これからの暑い季節、冷たいそーめんばかりでなく、熱々の辛いフォーを食べて汗をたっぷりかくのも涼を呼ぶ手かもしれません。
こんなにうまいもの、店でも試してみたいのですが、さすがにパクチーの香りはそれだけで東南アジアを感じさせてしまいます。バジル一枚でイタリアになるように日本料理にはちょっと無理かもしれません。