お勧めの名店
昨日の続きのようなお話ではありますが、
よく「親方、〇〇へ行くんだけどお勧めの店ない?」というご質問をいただきます。
そんなときは「まあ、そこそこの店」よりは「高いけど文句なくうまい店」を紹介するようにしていました。
京都でカウンター割烹なら「千花」とか東京のフレンチ、サービスなら「レカン」、ワインなら「アピシウス」、ゴージャスなら「タイユバン・ロブション」ってな具合になるかもしれません。(ちょっと大ざっぱですが)
しかーーーし、
お勧めした店の後日談を聞くと、それほどの感動がなかったことを知って申し訳なくなることが時々あります。
上記のような店は、誰が食べても納得させてしまうほど素晴らしい、と思い込んでいたのは幻想でした。まさに思い込みです。
「千花」の茄子の焚いたンは「茄子がここまでうまいか!」と思うほどの素材でも、その理解の外にいる方には「ただの茄子の煮たヤツ」になってしまうわけだし、「アピシウス」の素晴らしいワインリストも、相対的な値段を全く知らない方には「やたらに高いワインの羅列」になってしまうのです。
しかも、勘定書は価値を知る方には納得でも、そんなものはどうでも言い方には異常に高い勘定書になってしまいます。
十分にお客さまの素性を考えた上でのお勧めのつもりでもやっぱり難しい。
人の舌というのはホントに難しい。
職人としての感性は時として先鋭的になりすぎるかも・・・・というのはカッコつけすぎでした。