IT


なんか想像以上に凄いことになっているらしいのです。IT(Information
Technology)のことです。NHKの土曜日曜の特集で取り上げていました。


実際、店を新築した5年前、インターネットのイの字もなく、PCなんてワープロすら扱えなかった建築屋の社長さんと久しぶりに話をすると、図面の手書きなどもう考えられないとか、PCで画かれた図面を圧縮してネットで送るなんて話を当たり前のようにしていました。


身近に感じるITです。


TVの番組で紹介されていた金型の制作の話は、職人の仕事として興味のあるものでした。


ほんの数年前、コンピューターでは表現できないミクロの単位の工作が可能な熟練工の話を同じようなNHKの特集で見ました。こういう熟練工の存在が日本工業発展の底辺にあって、そういう知られざる熟練工が町工場にウヨウヨいるのだという内容でした。


が、こういう熟練工の仕事も計量化され、IT革命の波に乗ってしまう時代になっているのだそうです。工業製品の世界では職人、熟練工がたくさんいなくてもよい時代がすぐそこまで来ているのだそうです。


そういう熟練工の技術の計量化に比べれば、板前の技術の計量化など簡単なことかもしれません。事実、私ン処でも使っているスチームコンベクションは経験を積んだ職人仕事を完璧にこなしていますし、大手では電磁調理器を使ったシステマティックな調理場はかなり普及しています。


食材の分野では、私たちが使うような地域や人を限定したようなものはインターネット上にはまだのってきていませんが、これさえも時間の問題かもしれません。


何年か後には、ジョエル・ロブションのレシピがITで発信され、インターネットで彼が指定する食材が手には入って、コンピューター制御の調理器具で正確に再現されて食卓に上るなんていうことも可能になるのでしょう。


私の将来も、調理場で仕事することから板前のノウハウをインターネットで発信しているかもしれません。それほど、計量化不能だと思われるさじ加減や気遣いの部分もIT革命の前では儚いものになりそうな気がします。


だからこそ、料理屋の気持ちの部分をさらに大事にしたいのですが。