目利き


良い魚屋と正しいお付き合いをするのが一番大切なのですが、
魚の目利きというのは
何年経っても極めることができません。


魚を見るには
目がきれいなもの
えらがピンク色のもの
鱗など表面に艶のあるもの
なんて
よくTVや本には書かれています。


この辺は鮮度を測る基準であります。
私どもが使うのは
その日に市場から、または現地から入ってきたものですから
鮮度が良いのは当たり前の話
中には送り物といって遠方から市場へ送られてくる品物もあるのですが、
魚の鮮度というレベルの話は
そのものをパッと見ればおおよそわかるのものです
毎日接しているのですから。


大事なのはそこから先の話
肥えているか
大きさは適当か
身に傷がないか
産地がどこか
釣り物か網物か
同じ魚、同じ鮮度でも魚の素性というのはずいぶん違う物です。
まるで人間のように、素性がよろしいかどうかで味は決定的に左右されます。
そこんところが難しい。
ほんとに難しい。


たとえば赤むつ
三河、舞阪、福田、御前崎
ほんの50〜70kmくらいの海の範囲でも違うものなのです。
駿河湾の物はどれほどピカピカでも私ン処で使う赤むつは少ないのです。


たとえば鱸
浜名湖 今切れ口と奥の三ヶ日あたりのものとでは
天と地ほど違います。
「原価をかけられないから三ヶ日近辺の鱸でいいか」
と言う風に妥協することは絶対できません。
(時期にもよりますが)
これなどほんの10〜20kmの違い
同じ海なのになんでこんなに違うのでしょう
水温、海底の地形、海流などなど様々な要素があると思うのですが
不思議です。


これほど産地は大事ですから
私ン処で従業員が確認する献立には
魚 野菜とも可能な限り産地を明記してあります。
全員がどこの何を使っているかを理解した上でなければ、
お客様にお勧めできません。