さらに熟成のお話


4回も続けて熟成のお話。


今回はお酒です。


ワインでは熟成はとても大事な課程です。
ただ、世界で生産されるワインの90数パーセントは熟成させずに、
即飲むための物だそうです。
が、
残りの数パーセント、熟成させておいしくなる物はいわゆる銘酒のたぐいです。


ご承知のようにどんなワインでも寝かせればいいわけではありません。
また、果たしてどれほどの熟成が一番良いか
難しいところです。


たとえばボルドー
格付けクラス4〜5級の物でしたら1989年位でしたらぼつぼつ飲み頃
1〜2級はまだ1989年ではリストに載せられません。
私ン処でもモンローズ、パルメ、ピション、ムートン、ラトゥールなどはセラーで熟成中です。


1990年はまだかなり熟成がきくのでしょうが、
1992年は早めに飲んでいただきたい。
90年代で唯一今飲めるヴィンテージなのではないでしょうか。


これがブルゴーニュになるとまた違います。
当然、造り手(ドメーニュ)によって、畑によって飲み頃は皆違うと思って良いでしょう。


特に日本料理に赤ワインを合わせようと思うと
熟成しているかどうかは大変重要です。
濃厚なソースと違ってタンニンや酸味が強いことは料理に良い影響は与えません。
フランス料理で飲み頃のワインも
日本料理ではもうちょっと寝かせたいと言うことになります。


白ワインもいい物は最低でも4〜5年の熟成が必要だと思っています。
10年を経た白ワインは全く別の表情を見せてくれるのですから。
そこを辛抱するのが大変。
だって今市場には手頃な熟成した白ワインはほんとに少ないのです。


(私ン処で満足行くワインリストができるのは何年後でしょう?)


日本酒でも酵母と米によっては
封を切ってからすこし置いた方がおいしくなる物があります。


よく、大吟醸は夏を越して荒さがとれるといいますが、
飲み頃を見極めて出荷する蔵元。
さらに注意深く見つめる酒屋。
封を切ってからの表情を探る料理店。
三者の地道な努力があって初めて
「うまい!」といっていただける水準に達します。
特にこの分野はまだまだ未開発、
でも
私の周りでもここまで真剣に考えている酒屋がいます。
彼らの将来が楽しみ。