わたし講釈大王?


私ン処の料理は、
悪く言えば何の変哲もない
よく言えばストレート アヘッドな実直な料理です。


風変わりなインパクトのある献立も取り入れはしますが、
コースの中に一品位あればいいほう。


でも、素材には思い入れがあります。
その辺のマーケットで手にはいるような品物はあまり使いません。


たとえば里芋なら大野 上庄農協のもの
三つ葉なら茨城の地三つ葉
青唐ではなく万願寺唐辛子か伏見唐辛子
海老芋は豊岡村
枝豆は丹波か山形のだだちゃ豆


野菜だけでもこんな風にしたい方ですから
魚、肉はもちろんさらに産地を大事にしています。


従業員全員がその日の各お客さまの献立を確認し、素材の産地も知っておく。
「ちょっとお待ちください調理場に聞いてきます」
はできるだけ無いようにしたいと思うのです。


てなわけで、当然こねくり回した料理はできなくなってしまうわけです。
お百姓さんに怒られちゃう。
漁師に顔が立たない。
こんなうまい物、大事に持ち味引き出してあげなくては
お天道様に申し訳ない。


でも、お客さまは
「芋をただ煮たやつ」
「魚をただたれ焼きにしたやつ」
という認識しか持たない人もいて、
つい、どこどこ産の〇〇です。なんて、声高らかに言ってしまって、
「講釈が多い」
とお叱りを受けます。


「言ってくんなきゃわかんないから、その都度教えて」
とご厚意でおっしゃってくださる方も多いのですが、
悪い癖で、一生懸命手に入れた物ほど多弁になってしまって、反省することしきりです。


素材の産地や料理法も付加価値としておいしく感じてくれる方もいれば
ただうっざったい方もいるわけで
その辺をさらりとやってのけるサービスを心がけたいと
毎日が精進、精進。です。