終活?


20年ほど前、仕入れで毎日顔合わせる四人 がいました。


私を含めた四人は全く同年の生まれで、1人はお寿司屋さんを開業し、1人は和食店を、1人は大きなホテルの寿司部門を任されていました。


毎朝7時半には仕入れに集まるという仕事のスタンスも似通っていましたし、何よりそろって真面目一徹の仕事ぶりで、私など刺激を受けることたっぷりでした。


当時はこれがいつまでも続くと思っていたのです。 が、15年後にはお寿司屋さんは家族の問題や体調の問題などで人気だった店を閉めざるを得なくなりました。


大きなホテルの寿司職人さんもホテルの営業形態の変更によりやめていかれました。


そしてつい先日、長く真面目な和食店を営んでいた料理人は、この秋に料理店を占めることを決断 されたと聞きました。お客様が同じように老齢化し、外食を控えるようになり、何よりパートナーである奥様が仕事に疲れ果ててしまったそうです。


これで残ったのはとうとう私だけ。


まじめだけが取り柄で、一徹な仕事を貫いてきた同世代が、ひとり、またひとりと仕事から引いていくのをみるのは辛いものです。



周りの同級生を見渡しても、定年で退職する人間が増えてきて、そろそろ終活を考えなければならないとせかされているようです。


が、
まだお客様のニーズがあって、身体に問題がない内は、そしてなにより「もうちょっと美味しいものを作ろう」「もっといいお酒がないかな?」と気力が維持できている間は居座ってやろうかと思います。