戦前の仕出し屋


NHK朝ドラ 「とと姉ちゃん」は出だしが地元浜松。


東京に移って家族が働くのは深川の仕出屋ということで、自身に関わりがあることには自然に目がいきます。


仕出屋のディテイルは見事です。


タイル張りの水回りに板張りの調理場、コンロ(たぶんコークスのはず)で玉子焼きを焼き、煮物の煮あげには竹の網ざる、ホウロウ引きのバット、果ては放冷棚と横の盛り場に配達のリアカー、岡持。


折詰の内容も玉子焼き 蓮根 椎茸 筍の煮物 蒲鉾 鰆の焼き物。斜めに仕切った折に白ご飯と梅干し。ハランの仕切りと下準備などなど。


ちょっと違うのは、若い衆(調理場の板前さん 見習いさんは総じて若い衆と呼びました)は白衣ではなくて法被を着ていたことくらいかなぁ。


私の記憶にあるのは昭和三十年代の調理場ですが、名残はたっぷりとありました。


おそらく東京「弁松」さん(折の中身をみると別の店かも)なんかのアドバイスが綿密に反映されているのでしょうね。


見事です。文句の付け所がありません。


もっともnet上の炎上雀たちには文句をつけたくても未知の世界であずかり知らない分野なんでしょうが。。。。



昨日の回、お弁当の配り間違いでお客様に迷惑をかけた仕出屋さん。そうとは知らずに配達してしまった末端の主人公家族達が一軒一軒に頭を下げに回るというお話でした。


そう、そういう小さなミスから派生するやらかしちゃう大きな失敗は、飲食店を営んでいると、どんなに注意していても必ずどこかで起きます。万全のつもりでもほころびは何年かに一回必ずあるものです。


ここで、主人が「間違えたのはお前達だ!謝ってこい!」という態度は決定的に間違っていると、私なんぞは認識するのですね。80年の老舗であればなおさらのこと。


下働きがやらかしたミスでも頭を下げるのは主人です。


何を置いても主人が自ら出向き「私の不調法でご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」と自分の責任を前面に出して深く頭を下げるのが老舗っていうもんだと思うのです。


私自身何度頭を下げたか。


店主が土下座せんという勢いで頭を下げれば、多くの心あるお客様は怒りをなんとか静めてくれるものです。


やらかしてしまった後の対処、TVで見ているだけでもハラハラドキドキ、胸が痛みます。