これ以上はない幸せな一日


先日、学生時代に所属したアマチュアバンドの60周年記念コンサートがあって、20年ぶりの演奏のためにリハビリを開始したことを書きました。


実際には楽器を手にできたのは2週間ほどでした。


ウッドベースを弾くための握力が激しく衰えて、10分と引き続けることができず、一日の練習量は 10分が二三回程度。


さらにはヘ音記号がすらすら読めない。
Bディミニシュってスケールどんなだっけ??  とコードを忘れている。
音程は当然のように最悪。


演奏予定の曲は現役当時、初見で弾けた曲なのに、初めから最後まで弾き通せない。


これはまずい、せめて止まらずに弾けるところまでなんとか、とジタバタするうちに5月5日本番がやってきてしまいました。



コンサートに集まったのはほとんどが40年ぶりの、頭は禿 白くなった仲間達で、旧交を温める間もなく、リハーサルに突入しました。


フタを明けてみると、私のよれよれに比べて、皆上手いのです!


いつどこで秘密練習してたんだ。。。と一人一人に問いただしたくなるレベルに仕上げてきています。もっとも全員がある程度レベルのジャズバンドのレギュラーメンバーになったその道の手練れであった訳ですが、それにしてもOBとは思えない音を鳴らしてくれます。



コンサートは ハイソサエティ オーケストラが60年で歩んだ歴史を7つのエピソードに分けて、15近いフルバンド のべ200人近いメンバーが次々とステージに上がります。


年齢は10代後半の現役から80代の創生期メンバーまで。目玉の一つには17名のジャズフルバンドを全員女性(OG)で構成するというまれにみるバンドもあります(しかもビックリするくらい上手い)




本番は一曲目からこれぞフルバンドというスピード感に溢れたドライブしまくりで満席の観客を圧倒し、次々とホレボレする構成で三時間のコンサートを一気に駆け抜けました。


不思議なことに、練習中はよたよただった私も、スポットライトを浴びるステージ上がって曲が始まると、ドラムスのビートも身体に感じられ、ギターのカッティングは心地よく心を刺激し、管たちのグルーブ感と大音量が「もっと盛り上げろ」と気持ちを揺さぶってくれるのがわかるくらい冷静に周りの音が聞こえます。


こうなるとリハビリ中には読めなかったコード譜がするすると理解できて、40年前のように、ベースラインを自然に組み立てられるのです。


仲間の刺激というのはこうも偉大なものなのです。これこそがフルバンの醍醐味。


こんな幸福感を演奏中に味わえて天にも昇るような心持ちです。


今、心臓が止まってしまっても後悔はありません。



「一曲やらない」と声をかけてもらって、ステージに上がり、よみがえった若き日の幸福感。現役当時「今、俺、一番幸せかもしれない」と感じたのは40年を経てそのまま実感できました。


楽しかった 楽しかった 楽しかった  音楽って素晴らしい。


歴史的なコンサートに尽力してくださった皆さんに大きな感謝の一日でした。