専門家のいる店
jazzを熱心に聴き始めたのは中学生の頃でした。
お金持ちの家ではないのに、音楽を全く聴かなかった両親は、月一枚程度ならLPを買うお金をだしてくれるありがたい環境にいました。
当時LP購入はもっぱらヤマハ売店。ヤマハの本社がある町ですから、それなりに充実した品揃えであったような気がします。
店にはjazz専門の女性店員がいました。
中学生からみれば、20代前半の女性はもう完璧なおねぇさま。半ば憧れの目をもって店に伺うと、jazzの新譜や歴代の名盤、歴史の話など中学生初心者にはありあまるほどの知識を与えてくれました。
買えるのはたった一枚ながら、jazz話で一時間や二時間は楽しく過ごせる空間を女性店員が作ってくれていたのです。
見目麗しきjazz専門女性は代々受け継がれ、それから30年以上、LPからCDに変わっても常に私のjazz情報源でした。
web環境が充実するまで、いつも専門家が伝えてくれる生の情報がビビットに心に響いた時代は、情報そのものだけでなく、彼女たちに会いに行って言葉でふれあう時間が満ち足りていたのでした。
netでなんでもわかってしまう今だからこそ、「あの人がいるからあの店に行こう」と思ってくださる店になること。それが私が目指したい店です。
そんな大切なことを歴代のjazz専門担当者が教えてくれたのかもしれません。