十人十色


人の家の日常的な朝ごはんを食べることは、お泊りのおよばれでもしない限りあまり経験することはありません。


朝ごはんだけでなく、何時にどんなふうに風呂に入るのかとか、昼ごはん 夕ご飯の時間帯は何時ごろで、たとえば晩酌をするのか。。。などと各家庭でそれぞれに作法があって、お互いに確認し合うということもほとんどないかもしれませんね。




年末押し迫ったころ、おせちの仕込みに追われて朝ごはんを調理場で食べながら仕事を続けた日がありました。


朝ごはんを食べずに仕事に入った若いスタッフにも半分あげながら仕事を続けていると、豆のスープを飲んでは感心し、サラダやサーモンのマリネを食べてはため息をつき、パンと紅茶を飲んでは美味しいと連発します。


急なことでしたからよそ行きの朝ごはんではなくて、連れ合いが毎日作る朝ごはんそのものであったわけですが、お世辞半分としてもやけにほめてもらいちょっとうれしいようなこそばゆいような。。。


それから日をあけない大晦日、例年のように夜が明けないうちから仕事をしていた調理場に連れ合いが軽食を持ってきました。


玉子サンドと茹でキャベツにソーセージとマスタード、ケチャップをそえた簡単ホットドッグ ミルクティーとストレートティ。


別の若いスタッフが「親方ぁ、毎日こんなおいしい朝ごはん食べてるんですか!」と。


言ってみれば、何の変哲もない普通のごはんです。が、連続で別々のスタッフに言われて、私の口からは「いやいや、これ普通ジャン。特別な朝ごはんじゃないし」とは言いつつ、「ああ、うちの朝ごはんって美味しいのかなぁ?」と思ったりして。


この日記でも連れ合いの料理上手はよく口にしていますので、いまさら。。。とは思うのですが、毎日の食事を飽きずに工夫するという努力は大したものなのです。ましてや子供たちは全員巣立って夫婦二人だけの食卓なのですから見上げたものです。


それに加えて、私も休日に料理するのがそれほどいやではありませんから、日常も休日も下手な外食をするよりは自分たちでそれなりの素材を使ったほうが料理を楽しめたりします。


ただ、料理上手の連れ合いをもつと、私の仕事にも厳しいのも通常で、結婚30年の間、私の料理がほめられたのはほんの数回。お客様のコメントのほうがずっとやさしいというハードな環境にさらされてもいます。本当はほめられて伸びるほうなんですが。