90周年


「弁いち」は今年、創業から90年を迎えました。


日々仕事をしていて90年を意識することはまったくありません。


たまにお客様から「いつ頃始めたの?」と尋ねられて、「大正13年です」とお答えすると、多くの方が「へーーー」と感心してくださるのですが、その「へーーー」の中にはそんなに長くやっているのに有名じゃぁないよね、の気持ちもうっすら感じ取ります。まっ、そんな時がやっと90年を意識するときです。


他のお店が「5周年を迎えました」「11年目です」などと伺うと、「立派に守ってこられたな」「ご苦労されたんだろうな」と拍手を送りたくなることは頻繁なのですが、自分の店の90年の実感はないのです。




私が店に戻ってから35年。父 先代が亡くなり店を完全に受け継いで23年。こちらの方に質を感じるのは仕方のないことですよね。


仕事をしていると何年を目標・・・などということは考えなくて、今日のお客様にどう喜んでいただくか、だけに集中して、日々を黙々と過ごしているのは世間の皆様方といっしょです。


たまたまそうやってまじめに仕事に向き合う、実直だけが取り柄という人間が三代続いたというだけで90年が過ぎていったわけです。


店を広げず、店舗展開もせず、主人の目の届く範囲の仕事だけをこつこつこなすことに疑問を感じなかったことも長らえた原因かもしれません。


祖父の時代には大きな戦争があり、父の時代にはオイルショックがあり、私の時代にはバブル崩壊リーマンショックがあり・・・と各代に越えなければならない大きな山があったわけですが、そこも実直だけを武器にジタバタしてきました。



さて、ここまでくると100周年を視野に。。。と思われるかもしれませんが、私自身は大きな病気を経たこともあって、いつ「はい、お仕舞い」と口にしてもおかしくはないと思っています。それが93年目かもしれませんし、102年目からもしれません。そういうことを考えずに日々を積み重ねた結果が今であることを思うと、今日のお客様に集中することだけを相変わらずに続けていくだけなんでしょうね。


というわけで、90周年のキャンペーンをやっています。ご予約のお電話をお待ちしております。