目をみはる才能


芸大出身非クラシック系 坂本龍一 渋谷慶一郎に続くとか、矢野顕子再来とかいうまとわりつくうたい文句なんぞに関係なく、菊池成孔「粋な夜電波」で音を聞いた瞬間に背筋がゾゾゾと震えました。


売るためには、「偉大な誰かに似てる」「天才○○の再来」「降臨」などという言葉が踊るのですが、小田朋美の素晴らしさはほかにたとえることができないオリジナルな音楽を紡ぎ出していることにつきます。


たとえば(たとえることがすでに問題かも)モーツアルトはそれ以前にもそれ以後もモーツアルトに似た音楽が存在しない唯一孤高の音楽であるように、マイルス・デイビスの音が一小節聴いただけでマイルス以外を思い浮かべることがない至高であるように、小田朋美は誰かのコピーから発生していないという恐るべき事実に激しく心を揺さぶられます。


近頃の音楽、特にヴォーカルを全面に打ち出したものは、音楽家そのものの音というよりも、音楽家の音を素材としてどこかの誰かが作り上げて売れているケースに溢れています。


しかしながら小田朋美は作曲編曲の高い能力とオリジナリティ、惹きつけられる歌声の豊穣、アレンジングした音楽を仲間と創り上げる執拗さ、鍛え上げられたピアノのテクニック、すべてが自らの力によって完成されているのです。


しかも躍動し、美しく、激しい。


こと料理と音楽については長い間携わってきて、それなりに見る目をもっているつもりでいます。という私が激しくお薦めする小田朋美のファーストアルバム「シャーマン狩り」


売れるかどうかは別のお話であるのですが。。。


近頃のアルバムは一枚に10数曲が居並び、これでもか!の音楽の洪水なのですが、通して聴く気力も体力もなくなってきていました、が、[シャーマン狩り」は聴き始めたら最後まで聴かずにいられない。


シャーマン狩り

シャーマン狩り

シャーマン狩り