卵焼きの問題


卵焼きは小学校4年生から焼いています。


すでに○十年・・・とはいっても、20年焼き続けた職人と30年焼いてきた職人の味が違うかって言うと、それほどのもんじゃぁありません、卵焼きですから。


普段は仕出しのお弁当のために焼く卵焼き、以前に「たまにはおもしろいかも・・・」とお座敷のコース料理の最後のご飯用に、土鍋炊きたてご飯と熱々だし巻き卵という組み合わせでお客様にお出ししてみたことがありました。


三〜四日目でしたか、あるお客様が「旅館の朝飯みたいだね」と。


何気ない素直な感想だったのですが、そのときの私には「どこでもたべられる」「たいしたことない」〆のご飯という風に聞こえてしまい、翌日から献立から外してしまいました。


だし巻き卵と白いご飯・・・だめかぁ。。。とちょっとがっかりしたわけですが、その後何年かして、大阪の有名割烹では〆ご飯の定番が白ご飯とだし巻き卵であることを知り、さらによく考えてみたら普通の旅館でできたてあつあつのだし巻き卵を朝ご飯に出す店って希有な存在であると気づきました。99%の朝ご飯はすでに冷めてしまった卵焼きなんですね。私自身熱々のだし巻きをいただいたのは修善寺の「あさば」さんと奥湯河原の「指月」さんくらい。


できたてで出汁がジュワッとでてくるだし巻き卵って決して家庭の味ではないんですけどね。


それなら・・・と、9月の頭の〆ご飯に復活させてみたわけです。


「美味いねぇ」とも「さすが」とも言っていただけない全然特別ではない炊きたてご飯と職人ならだれでもできるだし巻き卵。やっぱりだめ??