ええーー!!カルテットじゃぁないの??
日曜日の朝、映画に出かけました。
見ようと思っていたのはこれ フィリップ・シーモア・ホフマン クリストファー・ウォーケンら、名優が演じるカルテットにまつわる人間模様がものすごくおもしろそうで期待が大きかった作品です。
ところが、上映が始まると観る気満々の「25年目の弦楽四重奏」の予告が始まるではありませんか。
いやな予感。
まさかこれから観ようという映画の予告が、その映画本体の前に上映されるはずはなく、時間を間違えて入ちゃったか?俺。と思ったのですが、時間はnetでも直前に確認したはずで間違えるわけはないんです。
んで、本編が始まると上映されたのはこれ
なんという迂闊モノ。
確かに弦楽と声楽の違いはあるとはいえ、同じカルテットではありますし、この「カルテット!〜人生のオペラハウス」も観たかった映画であることに変わりはないのです。
だから無理矢理正解といえば正解。しかもお恥ずかしいことに、映画館に入る直前にポスターの写真を撮ってFACEBOOKにアップして「今からこれ観ます」なぁぁんてちゃっかり書いているんであります。写真を撮りながらそれでもホフマン〜ウォーケンのカルテットを観るんだと信じていた私の大ボケぶりはほとんど病に近いとしか思えません。
これから老人を主題にした映画が始まろうという時に、自分の老人力の高さを目の当たりにするおまけまでついて見始めた「カルテット!〜人生のオペラハウス」 はもうそれは素敵な映画でした。2013年上半期私的ベストワンの映画。
「弦楽四重奏」が四人の人間模様であるのに対して、このカルテットは四人が主役ではありながら、それを取り巻く人々もそれぞれにキャラクターが際立っていて上質な群像劇に仕上がっています。
舞台は引退した音楽家達が入居するホーム。ホームには常に主役でスポットライトを浴び続けたスターもいれば、コーラスのその他大勢を担ってきた脇役もいます。天性の才能に恵まれたスターが、スターであった故に我が儘で過去の栄光にとらわれるだけでなく、人間関係にも失敗をして老後を迎えています。かつて史上まれに見るヴェルディのカルテットを演じた四人がホームで再会し、人間関係を修復しつつホーム再建のためのガラコンサートに向かうというそのストーリーは、よく練り込まれ、名優達の演技のもとで洒脱に演じられます。
しかも、名優達に混じって本物の老音楽家達がかつての栄光を垣間見せる演奏を各所で披露するのも、さらりとさりげないのに本物感たっぷりで見応えがあります。「ああ、この人達本物だ」に充ち満ちた映画でもあるのです。
演技の本物、演奏の本物を取り仕切るのは、名優ダスティン・ホフマン。初監督作品です。初監督で人々の心を鷲づかみにするホフマンの力量も特筆に値します。
うっかりモノが間違えて見始めた映画なのに、感動しまくりで映画館を後にする幸せ。いいのか?これ。いやいいんです、もう一回今度は「25年目の弦楽四重奏」が待ってるんですから。