料理酒


日本料理の調味料として日本酒はどんな銘柄を使うか?


長い間様々なお酒を使ってみてはいますが、醤油や味醂、塩のように職人の間で決定的な定評のある料理酒というのを知りません。


多くの職人さんたちは適当にお手頃なお酒を使っているのでしょうか。昔は燗冷ましを料理酒に使ったりしたもので、「こういう味わいだからこのお酒を料理酒に」とまでの思い入れ少ない分野でもありました。フレンチ 中華もそうですが、料理酒に贅沢をする料理人はあまり多くはいないように思います。


店ではある蔵の本醸造を標準的に使っていますが、決め手はコストとの折り合いでしかありませんでした。日本酒の味わいが料理に決定的に影響を与える場合は、奥播磨の山廃純米の少し寝かせたものとか、凱陣の神力純米。肉を焼くときなどにマデラを使うように達磨正宗の5年10年古酒を使います。これらを選んだ基準はアミノ酸の高さでした。アミノ酸が高いお酒の日本酒は料理にまろやかさだけでなく深みとひね香がもたらす旨味と奥行きを与えてくれるように思っていたのです。(淡麗辛口 大吟醸のさらさら、飲んで美味しいお酒ががいい料理酒になるわけではありません)


先日お得意様が「こんな料理酒があるの知ってる?」と 料理専用のお酒(マーケットで売っている料理酒ではありません)をくださいました。


ラベルをみて「ああ、これ、先日NHKの番組”駅弁”をとりあげた秀逸なプログラムで出た蔵だぁ」と気づきました。


「TVで取り上げられた」をほぼ信じていない私ですが、民放がマーケティング的に取り上げていたわけではないことが頭の片隅にありつつ、早速使ってみると、これがかなりいいのです。


アミノ酸度が通常日本酒の三倍もあるそうで、飲んではまったく美味しくないのですが、料理に使うと味わいにかなり影響力のあるインパクトのあるお酒です。


即、蔵に連絡して12本(一升瓶)購入。値段は普段の料理酒の倍近いものながら、自分の料理に力を与えてくれそう。もしかするとこのお酒が今までのレシピを変更させてしまうかもしれないほどです。


これで蝦夷豚の炭火焼き 日本酒のソースなんてどうでしょ?