名作「ながらえば」


今では毎週楽しみにするドラマがめっきり減ってしまたとはいえ、TVに元気がある時代に、向田邦子 山田太一 倉本聰などの名脚本家の作品がいつもそばにあったことは幸せでした。


今でもNHKでは単発ドラマに驚くほど優れた作品が現れることがあるということはちょっと前に書いたことがありましたが、過去の名作、山田太一「ながらえば」を今週土曜日にBSで放送するようです。


一回見ただけの単発ドラマながら、30年前の作品をいまでもはっきりとストーリーを思い出せ、いくつかのシーンを思い起こせるというのは本当に私の心に深く残っているという証拠です。


徳岡孝夫 中野翠『泣ける話、笑える話』で中野さんが熱く「ながらえば」がいかに素晴らしい作品であったかを語っていたのを見て、「そうそうそうそう!」と激しく同意していたのです。


お話の筋はNHKのサイトからとるとこんな感じ


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隆吉(笠 智衆)は、息子の理一(中野 誠也)の転勤にともなって、名古屋から富山へと移り住むことになった。しかし、隆吉の妻もと(堀越 節子)は入院中のため名古屋に残ることになった。富山に引っ越した翌日、隆吉は用事を思い出したので名古屋に行きたいと言い出す。息子夫婦の説得に一度は諦めるが、翌日、隆吉はほとんど金も持たず家を飛び出す。その頃、名古屋のもとの容態が急変していた……。
「ながらえば」は笠 智衆と宇野 重吉が共演した唯一のドラマ。かつて映画と舞台を代表した2人の名優が対面するクライマックスシーンは必見。

昭和57年度文化庁芸術祭優秀賞、第23回モンテカルロ国際テレビ祭最優秀賞、第10回放送文化基金本賞ほかを受賞。


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笠 智衆と宇野 重吉のシーンも印象的でしたが、最後の病室のシーン、笠 智衆がベッドで寝ている妻に背を向けながら、


「いたい。わしは、お前と、おりたい。おりたい。」と絞り出すように叫ぶところは、映画「砂の器」での加藤嘉が「ウォー!」を叫ぶシーンと並ぶ老俳優の名演だと思います。


お時間のある方にはお薦め。




同じく倉本聰の「前略おふくろ様」のことをラジオでカンニング竹山さんが語っていました。


「見たいのにレンタルされていなくてDVDボックスを買ってしまった」と。


調べてみると確かにレンタル作品としては存在していなくて、高価なDVDを買わなくてはストーリー全体を見ることはできないようです。


このドラマが放映されていた1975−1976って大学で音楽にのめり込みすぎて、TVも新聞も全く見ていない時期であったのです。「倉本聰と共に生きた」みたいなことを先に言いながら、代表作を見ていないってどうよ!?


民放もBSで過去名作のアーカイブをもっとやってくれないかなぁ。。。。