料亭はなくなる運命なのか?
前回に続く話題
全国で老舗料亭が閉店の憂き目に遭っていると聞きます。
前回書いたように、私が若い頃には料亭は日本料理店の華で、あこがれの存在でした。
落ち着いた佇まい、手入れの行き届いた庭、四季に応じて整えられる調度品の数々、静かに客をもてなす女将と手練れの仲居さんたち、代々受け継がれる器、そして何より洗礼された料理。
そこにはその地の名士たちが集いサロンとしての役割を担っていました。
そういう場所は経済圏が形成されてさえいれば、そこそこ田舎でも「料亭」として存在していたものです。森繁久弥の名演で知られる「警察日記」を見ると貧しい田舎町でも一軒は料亭が存在していたことを見て取れます。伊丹映画「あげまん」でも料亭がどんな雰囲気であるのかが見られますね。
経済が疲弊し、料亭を利用する客層に変化が現れ、公のお金を少々でも使っている人間が料亭のような場所を使えなくなる時代の流れの中では、個人の利用だけで料亭文化を支えることは不可能になってきました。20〜50人の宴会に芸者衆が入るような昔の典型的な宴会が姿を消せば、料亭が存在する場所はなくなってしまうのでしょうね。
なくなるべくしてなくなるものなのか、古きよき文化としてどこかで受け継ぐべきなのか?
「昔、おじいちゃんが若い頃にはね、料亭ってやつがあって・・・」などという昔話を語る時代はすぐそこまできているのかもしれません。