惜しい!*5


休日に車ででかけた、とある街でとんかつを食べたのです。


以前から名前を聞いていて「近くに寄ったときには一度伺わなくちゃぁ」と思っていた店。ロースカツそのものはものすごく上手に仕上がっていて、そりゃぁ美味しいんであります。


肉質も素晴らしいし、柔らかさも、旨味も、衣のさくさく感も、油の切れも ぜぇぇんぶ素晴らしい。


そのメインとなるカツは絶品なんでありますよ。もういう言うことなし。ほんとにいい仕事です。


なのに・・・(以降重箱の隅をつつくことをお許し願います)


お漬け物にはカツほどの力が入っていない。ありきたりの(もしかしたら出来合の)塩漬けがべっしゃり盛ってあるのが惜しい。


あしらいのキャベツにシャキシャキ感がなくて中途半端な塩味がついているのが惜しい。


味噌汁がものすごく普通・・・というかそれ以下なのが惜しい。


ご飯も普通・・・というかそれ以下なのが惜しい。


調理場が見えているのに、ステンレスが磨かれていない。白衣がきれいでないのが惜しい。


ああ、あげていくととめどもなくなるのは私が悪いところなんでありますが、絶品のカツと同じくらいの情熱を店の隅々に行き渡らせれば名店と呼ばれること必定なのに、カツ以外がすべて惜しいというのがいかにも辛い。


地方の店、特に一つの逸品で売る店にはありがちなことなのです。


「んじゃ、おまえの処はどうなんだ!」という言葉には一切耳をかさずに申し上げれば、得てしてこれが「こだわりの」だったりするのです。本来「こだわり」ってこういう場面で使われます。「○○にはこだわってる」つまり「ほかはさておき」ということです。こういう「こだわり」は捨て置いてトータルバランスというか、全方位的にいい店を目指したい、そんな反面教師となる経験でありました。


重ねて言いますが、メインとなるカツは素晴らしいんですよぉ。